ヨガのポーズには、ヨガ哲学の深度が現れる。

身体を動かす目的でヨガをしている人がまだまだ多い、ここ岩手県宮古市。

「私は身体を動かしたくてヨガをやってるだけだから、ヨガ哲学なんて関係ないのよ!」なんて声が今にも聞こえてきそうですが…。苦笑

でもそんな目的の方も含め「このアーサナ(ポーズ)を出来るようになりたいのに上手くいかない!」ってヨガをやっていれば誰でもぶち当たる壁ですよね。あるいは「ヨガで綺麗なプロポーションになりたいのに、全然効果が出ない!」とか。

練習しているのに、努力しているのに、頑張っているのに…なのに何故?

「なのに」って、言葉があなたの中に浮かび始めたら、それはヨガ哲学の始め時かもしれません。

何故ならヨガ哲学の深度って、案外アーサナに出たりします。

ヨガのアーサナを安全に、かつ効果的に実践するためにはその人の骨格や柔軟性に合わせたアライメント(体各部の位置)の調整が不可欠です。さらに、アーサナの難易度が上がれば上がる程、正しいアライメントでなければアーサナに導入する事さえ出来なかったりします。

つまり、自分のアライメントが正しいかどうか、正しくないならどこがおかしいのか客観視して模索する必要があるのです。

ですが日頃のヨガでよく見受けられるのが「身体硬いのが恥ずかしいから、背中を丸めてでも頭を下げて前屈しよう」「トリコナーサナ、先生はスネに手を置いても良いって言ってたけど、私も先生みたいに足首や床に置いちゃお」

ヨガは他者ではなく、自分と向き合うために行うものです。だけど、上の例2つはどちらも自分ではなく他者に目を向けて自分のアーサナを調整してますよね。

身体を整える目的でヨガをやる事を否定はしません。でも、これらの例だとその人は心やヨガ哲学云々の前に、自分の身体と向き合う事さえ放棄している。

これはもう、ヨガではなくストレッチなんですよね。

そして当然ですが、アライメントとしては大間違いなのでいつまで経っても身体は柔らかくなりませんし、均整のとれたアーサナや肉体にもなりません。
ストレッチとしての効果さえ、間違ったアライメントで自ら打ち消している訳ですから。言葉はきついですが、意味のない堂々巡りを繰り返す事になります。

そして上記とは対極のように感じられるかもしれませんが、身体能力が高い方がその能力のみに任せてただポーズをとるのも、それはもうヨガではありません。大道芸です(大道芸ですから、やはり上記同様視線の先は自分ではなく他者ですね)。

身体能力のみに頼っているので、いずれ必ずやってくる身体の衰えとともに終焉を迎えます。

本来のヨガに終わりはありません。

インドで出会った仲間に哲学の講義はずっと睡眠学習だったアーサナのプロフェッショナルがいました。でも、彼女の感性や人柄はヨガそのものな素敵で素晴らしい女性だったと思います。別に「カルマヨガの定義はこうだ」とか「タパスとは何か」とか「プラクリティについて説明せよ」とか、そうゆうヨガ哲学における定義とか文言を知ってるかどうかが大事な訳じゃないんですよ。

その人がその人らしく健やかに生きる術を知っているか。

ヨガ哲学は我々が自分の人生をより良くするためのツールなので、道具の名前を知らなくたって、講義で学ばなくたって、持って生まれた感性で似た道具を生み出せちゃったり、たまたま出会った名も知らぬその道具を使いこなせちゃう人だっている訳です。

でも万人が万人そんな訳がない。

私だってもちろんそうです。20代半ばまで現代の日本社会でそれなりに優等生な生き方をしてきて、自分らしさを取り戻すのに苦労した「自分の人生の劣等生」です。

私も昔は身体が本当に硬かったので誰かと一緒の時は本当に恥ずかしくて、前述した背中を丸めた前屈を散々やりました。

妙にストイックな所がある性格なので、柔らかくしようとアライメントなんて無視したメチャクチャな柔軟だってやりました。

でも、身体は何一つ変わらなかった。

理想通りに変わってくれない身体にすごくやきもきしまして、自分を嫌いになりそうでした。

今はハヌマーンアーサナ(前後の180度開脚)出来るくらい柔らかくなりました。

柔らかくなったのは、自分の心や考え方がヨガらしい柔和さを身に付けてからです。

「誰かに見られている前提のアーサナ」ではなく「自分のためのアーサナ」をするようになってから。恥ずかしいくらいの硬さも含め、ありのままの自分の状態を受け入れ、慈しみ、今の自分にとって適切な負荷やアライメントを模索する心の余裕を得てからです。

「誰かに見られている前提のアーサナ」、「自分ではなく他者を意識したヨガっぽいもの」の根底は、言ってしまえば見栄やエゴなんです。さっき自分を振り返って言った「理想通りに変わってくれない身体」ってゆう発想も我ながらまさにエゴ。

見栄もエゴも、正しいアライメントで効果的なアーサナを行うためには非常に非常に非常~っに邪魔な要素です。だって、例に出したように他人が脳裏にチラついてアライメントが狂うんだもの。

それらを手放さないと望む結果はやってきません。

求めるあまりに遠ざかるなんて、なんとも皮肉な話ですね。

もし「身体の状態やスタイルを良くしたい」とか「憧れのアーサナを出来るようになりたい」みたいな動機からヨガを始めて、今のヨガライフにやきもきしている人がいたら、ちょっと一息ついでに新しいアプローチ方法を探る気持ちで参加してみませんか?

手放したら、案外あっさり自分の手の中に入ってくるかもしれませんよ。

6月2日(日)、スワミ・ヨゲシャナンダ先生による「ヨガ哲学&チャンティング特別ワークショップを開催します!

詳細は下記の通りです。ご予約お待ちしております。もちろん、当日の飛び入り参加も大歓迎です!

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この記事を書いた人

POYANICAのオーナーインストラクター、キッズヨガインストラクター、養成講座のリードトレーナー。ヨガの指導はもちろん、スタジオ経営、広告デザイン、コピーライティング、動画編集、イベント企画までこなすマルチな人。まだまだ多くのことに手を出そうとしているが、本人いわく「すべての智慧はヨガで結ばれる」とのこと。岩手県宮古市在住・岩泉町出身。蟹座。B型。

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